フッ化ナトリウムの毒性と発癌性に関する研究のNTP科学技術報告書

(CAS NO.7681-49-4) F344/NのラットとB6C3F1のマウス使用 (飲料水を使った研究) 予定された精査を受けた資料:1990年 4月26日 注意 これは公開の再検討と批判を受けるために用意された科学技術報告の草案である。 この草案がNTP の顧問科学者による公開での詳細な検討を行う審議会での再検討と 承認を受けるまではこの中で述べられている解説はNTP の公的な科学的な見解を説 明するものではない。詳細な再検討が終了すれば、読者はこの科学技術報告書の最終 意見をNTP から入手出来るはずだ。 NTPの報告書 393 国立衛生研究所出版No.90-2848 アメリカ保健厚生省 公衆衛生局 国立衛生研究所                   要約                   NaF                  フッ化ナトリウム                  CAS No.7681-49-4         NaF          分子量41.99 フッ化ナトリウムは白色の結晶で、水溶性の粉末は市町村の水道水フッ素化、 いろいろな歯科用薬剤に、そして工業材料として利用されている。毒性と発癌性の研究 は系統記号F344/NのラットとB6C3F1のマウスそれぞれの雄、雌を使い飲み水にフッ化ナト リウムを混ぜ14日間、6ケ月間、2年間の期間に分けて行われた。さらに、 遺伝毒性の実験は ネズミチフス菌、マウスのL5178Y細胞、チャイニーズ ハムスターの卵子細胞を使って行わ れた。 14日間の研究:ラットもマウスも飲料水のフッ化ナトリウムの濃度を800ppmという高濃 度で行われた。(濃度はフッ化ナトリウムの濃度で表す;フッ素はフッ化ナトリウムの45% のを占める) 高濃度グループではラットの雄の5/5雌の5/5、雄のマウスの2/5が死んだ; 400ppmをの飲料水を与えられた一匹のラットもまた実験の終了する前に死んだ。 フッ化ナトリウムによる何等の病変も観察されず。  6ケ月間の研究:ラットはフッ化ナトリウム濃度300ppm、マウスは600ppmの飲料水を飲ま せて、行われた。研究期間中ラットは死ななかった、しかしマウスの高濃度投与群の雄の4/9、 雌の9/11と300ppm投与群1/8 の雄が実験が終了する前に死んだ。300ppmを与えられたラット と200~600ppmを与えられたマウスの体重はコントロール グループと比べて少なかった。 高濃度投与群のラットとマウスの歯はチョーク様に不透明に白変し削れて異常な擦り減 り方を示した。 顕微鏡観察では、 高濃度投与群のマウスと雄のラットではエナメル質に変 性病巣を観察した。ラットの100または300ppmのフッ化ナトリウムの投与群では胃粘膜に軽 度の過形成を観察し、 高濃度投与群のラットの雄雌それぞれ一匹に潰瘍を観察した。 早期 に死んだマウスに急性の壊死と、 フッ化ナトリウム濃度50~600ppm の投与を受けたマウス の長骨の増殖/再形成という軽度の変質を観察した。 ラットとマウスの2 年間の実験のために選ばれた飲料水のフッ化ナトリウ濃度は0,25,100 そして175ppmであった。 この濃度はラットで300ppmでマウスで200ppm以上では体重の減少を 見た事、6ケ月間の研究でラットで胃に病変が発生する傾向がある事、 予備研究での 2年間の 研究で100ppmのフッ化ナトリウム濃度では顕著な毒性作用が見られなかったという理由で決 められた。 体重と 2年間の研究での生存率: 投与群とコントロールグループとの体重は 2年間の研究 期間を通して同じであった。 ラットもマウスもフッ化ナトリウム投与によって生存率に影響 は見られなかった。 2年間にわたる研究終了後の生存率: 雄のラット-42/80;25ppm,25/51; 100ppm,23/50;175ppm,42/80;雌のラット-59/80;31/50;34/50;54/81;雄のマウス-56/79; 39/50;37/51;65/80;雌のマウス-53/80;38/52;32/50;51/80  2年間の研究での新生物と非新生物: 投与量が増加するに従ってラットとマウスの歯は 白っぽく変色し、 雄のラットには歯の形成不全傾向と摩耗による不正な咬み合わせが見られ る場合もあった。顕微鏡観察では、 雄の歯では、 より程度は低いが、 雌のラットでは象牙質 の形成不全とエナメル芽細胞の変性が見られた。 象牙質の形成不全は雄と雌のマウスの投与 群、 コントロール群共に発生した。 象牙質形成不全の病変は雄のマウスではコントロール群 と比べ投与群には著しく見られる傾向があった。 長骨での骨硬化症は175ppmのフッ化ナトリ ウムを投与された雌のラットで増加した。 フッ化ナトリウムの投与量の増加に応じたその他 の重要な非新生物の病変はラットにもマウスにも見られなかった。 骨肉腫は雄のラットの中濃度投与群の1/50と高濃度投与群の3/80に観察された。 コントロ ール群と低濃度投与群のどちらにも骨肉腫は見られなかった。 高濃度投与群の雌のラットの 一匹に骨外性の骨肉腫が皮下組織に発生した。 骨肉腫はコントロール群の雄のラットに0.5% の割合で発生を見た。 今回の研究では、 骨肉腫がフッ化ナトリウムの投与量の増加に従い増 加する傾向は統計学的に有意で、 フッ化ナトリウムの投与と骨肉腫の発生に弱い関係が有る という結論が導かれる。 フッ化ナトリウムの投与による発生したと考えられる発癌性病変は 外には見られなかった。 遺伝毒性:フッ化ナトリウムはネズミチフス菌の菌株TA100,TA1535.TA1575 そしてTA98 のS9(細胞周期9期)及びそれ以外の細胞周期でも染色体の突然変異の発生は見られなかった。 二ケ所の実験施設でマウスの L5178Yのリンパ細胞のフッ化ナトリウムの三フッ化ティミジ ン耐性試験が行われた。 結果としてはS9(細胞周期S期:DNA合成期)期及びそれ以外の細胞周 期でも染色体の突然変異の発生が確認された。フッ化ナトリウムの遺伝毒性はチャイニーズ ハムスターの卵細胞(CHO) を使って二ケ所の実験施設で行われた。 最初の実験施設では姉 妹染色分体交換試験(SCE) の結果はS9期及びそれ以外の細胞周期で遺伝毒性は見られなかっ た、そして染色体異常試験(Abs)はS9期以外で観察された。 もう一つの実験施設ではSCE試験 はS9期及びそれ以外の細胞周期で遺伝毒性が観察されたが、 Abs試験では染色体異常は観察 されなかった。 低濃度で実験を行った実験施設での Abs試験で遺伝毒性が観察されなものも 高濃度での実験では遺伝毒性が認められた。 同じように SCE試験でも低濃度での実験を行っ た実験施設とくらべ高濃度で長い期間にわたる実験を行った実験施設ではより遺伝毒性が観 察された。 結論:2年間飲料水にフッ素を加えて行った研究結果として、 フッ素投与群の少数の実験動物 に骨肉腫が発生したという事から、 雄のF334/N系統のラットでフッ化ナトリウムに不確かな がら発癌性の証拠があった。 飲料水のフッ化ナトリウム濃度25,100そして175ppm (フッ素濃 度0.11,45,そして79ppm)を 2年間与えた雌のF344/N系統のラットでは発癌性の証拠はなかっ た。 飲料水のフッ化ナトリウム濃度25,100そして175ppmの投与を受けた雄そして雌のマウス では発癌性の証拠はなかった。 フッ素を投与されたラットでは歯に典型的な歯のフッ素症の病変が生じ、 高濃度を投与され た雌のラットでは長骨の骨硬化症が増加した。 フッ化ナトリウムの2年間にわたる発癌性と遺伝毒性の研究まとめ 項目 雄 雌 雄 雌 F344/Nラット F344/Nラット B6C3F1マウス B6C3F1マウス 投与量 0,25,100, 0,25,100, 0,25,100, 0,25,100, or175ppmを or175ppmを or175ppmを or175ppmを 1週7日2年間 1週7日2年間 1週7日2年間 1週7日2年間 体重 投与群と 投与群と 投与群と 投与群と 対照群同じ 対照群同じ 対照群同じ 対照群同じ 生存率 42/80;25/51; 58/80;31/50; 56/79;39/50; 53/80;38/52; 23/50;42/80 34/50;54/81 37/51;65/80 32/50;51/80 非癌性病変 象牙質形成 骨硬化症 歯の変色 歯の変色 不全、エナメル 象牙質形成 象牙質形成 芽細胞の変性、 不全、エナメル 不全 咬耗、歯の変形 芽細胞の変性、 と変色 歯の変形と変色 癌 骨に骨肉腫 なし なし なし (0/80;0/51; 1/50;3/80) 発癌性の証拠水準 不確かだか 証拠なし 証拠なし 証拠なし 証拠あり 遺伝毒性 ネズミチフス菌(染色体の突然変異):S9期及びそれ以外の細胞周期でも陰性 L5178Y系統マウスのリンパ細胞:S9期及びそれ以外の細胞周期で陽性 SCE(CHO細胞の試験管内試験):S9期及びそれ以外の細胞周期で陽性a Abs(CHO細胞の試験管内試験):S9期及びそれ以外の細胞周期で陽性a aこの調査での陽性の結果は高濃度を使った実験施設で得られたもので別の実験施設での結果 として陰性でもあった。 1990年5月26日 部内草案 配布禁止引用禁止 ホームページ目次に戻る フッ素目次に戻る 次へ